【奴国は女王に属すか否か?】

 

次の魏志倭人伝(原文)の箇所には、

次有り・・・次有り・・・と、次々と国名を挙げて

「次有り奴国」までで、21ヶ国の記述があります。


自女王國以北 其戸數道里可得略載 其餘旁國遠絶 不可得詳 次有斯馬國 次有巳百支國 次有伊邪國 次有都支國 次有彌奴國 次有好古都國 次有不呼國 次有姐奴國 次有對蘇國 次有蘇奴國 次有呼邑國 次有華奴蘇奴國 次有鬼國 次有為吾國 次有鬼奴國 次有邪馬國 次有躬臣國 次有巴利國 次有支惟國 次有烏奴國 次有奴國 此女王境界所盡

上記の箇所で

今回次有奴國 此女王境界所盡の説明を致します。


次有奴國 此女王境界所盡の解釈は

世間一般には、
次有斯馬国 から次有奴国までの
奴国を含めて21ヶ国が

女王に属していると解釈されています。

私もなんの疑いも無くその様に認識していました。

しかし、

以前 youtubeで、

邪馬台国の関連動画をいくつか見ていたら

そのうちの一つの動画で

次有奴国 此女王境界所盡

此処の解釈が

その方の解釈では
次有斯馬国 から次有奴国までの
奴国を含めて21ヶ国が

女王に属しているという解釈ではなく。

 

次有烏奴國 次有 此女王境界所盡


烏奴国と奴国の間に境界線を引いて
次有烏奴国 /次有奴国 

次有烏奴国 の烏奴国までが女王に属している国で

次有奴国の奴国は女王の属国ではない様に解釈していました。

 

その時は、そう言う解釈もできるのかと驚きました。

「奴国は女王に属さない解釈も成立するか否か」

かなり時間をかけて考えてみました。

 

 

此女王境界所盡

次有烏奴國 次有奴國 此女王境界所盡

 

この箇所を和訳すると

次に烏奴国有り、次に奴国有り、此処は女王の境界の尽きる所。

 

此処の「此」は奴国を指して

「奴国は女王の境界の尽きる所」なのか?

それとも、此処の「此」は烏奴国と奴国の境目を指しているのか?

 

 

私は奴国が境界の尽きる内なのか、

それとも外なのかを此女王境界所盡の漢文の箇所で考えてみました。


そして私なりに自分が納得できる解釈をしてみました。

 

 

次有烏奴國 次有奴國 此女王境界所盡

 

「此女王境界所盡」

ここは女王の境界の尽きる所

ここの「境界」とは

奴国を含めての境界と解釈するか

それとも

烏奴国 /奴国の様に

 

 烏奴国奴国 

の間が境界なのか

此女王境界所盡の
「此」は奴国のどこを指しているのか?

気にしないでこの箇所を読むと
奴国を含んだ21ヶ国が女王の属国と読んでしまいますが、

「此」の前の「次有り奴国」を
別の単語にしたらもっとイメージし易いかも知れません。

たとえば、陸地ではなく
海、川、湖、山で置き換えてみます。

暫定的に
奴海、奴川、奴湖、奴山の名称で置き換えてみます

次有烏奴國次有奴海、此女王境界所盡
次有り烏奴国、そして次に奴海があります
ここが女王の境界の尽きるところです。

次有烏奴國次有奴湖、此女王境界所盡
次有り烏奴国、そして次に奴湖があります
ここが女王の境界の尽きるところです。

次有烏奴國次有奴川、此女王境界所盡
次有り烏奴国、そして次に奴川があります
ここが女王の境界の尽きるところです。

次有烏奴國次有奴山、此女王境界所盡
次有り烏奴国、そして次に奴山があります
ここが女王の境界の尽きるところです。

以上の置き換え文章を読んでどうでしょうか?

それぞれ奴海、奴川、奴湖、奴山を
含んで女王の境界の尽きる所なのか、
それとも、
次有り烏奴国と
奴海、奴川、奴湖、奴山の間が
女王の境界の尽きるところなのか、

読んだ時のイメージはどちらでしたでしょうか?

奴海の向こう側が境界です。
奴川の対岸が境界です。
奴湖の向う側が境界です。
奴山の山を越えた所が境界です。

上記の訳の様にイメージ出来た方いらっしゃるでしょうか?
残念ながら私はその様にはイメージ出来ませんでした。

私はすべて烏奴国と次に有る対象物の手前側に境界線がある様に読めました。

仏教用語で、川のこちらの岸は「此岸」、向う側の岸は「彼岸」と聞いたことが有る方もいると思いますが
この様な文章に使われる「此」は手前側の意味が強いのではないでしょうか。

又、境界とはABの境などの様に

対比した「間」の様な意味になるので
奴国の向う側が境界では変です

此女王境界所盡の「此」は
「烏奴国」と「次有り奴国」の境の所と解釈した方が自然かなと思います。

なので、
次有烏奴國有奴國、此女王境界所盡

この箇所は、
次有り烏奴国、そして次に奴国有り、ここが女王の境界の尽きる所です。
と訳して、解釈としては
烏奴国と奴国の境の所が
女王の境界の尽きるところです。

この解釈で言えば
奴国は女王に属してない国になります。

この奴国は前出の8ヶ国にも記述されていましたが
次有烏奴國 次有奴國 此女王境界所盡


烏奴国の次は前出の奴国(有2万余戸)が有り、

此の処(烏奴国と奴国の境目)が、女王の境界の尽きる所と
解釈するのが自然ではないでしょうか。


 以上